Ajaxが大流行したころから、ウェブでリッチなインターフェースを実現しようという動きが活発化しているように感じます。
もっとも、それ以前からこの分野ではFlashなどの旧Macromedia製品が使われていましたが、私が見る限り一部のデザイナーズサイトを除きその殆どは、感性に訴えかける”綺麗”なデザインを実現するためにHTMLページの一部のアクセントとして使われているに過ぎませんでした。
これに対しAjaxは、既に多くのブラウザに実装されていたJavaScriptの技術を応用することで、Flashよりも自然な形でHTMLに動的な操作性を加えることに成功しています。(HTMLとの親和性が高かったところがポイントでしょうか。)
しかし、Ajaxが注目されたのもつかの間。
ここに来てまた新たな流れが生まれつつあるようです。
リッチUIの新技術
Silverlight
Microsoftは先日、こんなもの↓をリリースしました。
Microsoftが満を持して送り出す”Flashの対抗技術” - Silverlightを体感する
米Microsoftは4月30日、Silverlight 1.0ベータ版と1.1アルファ版を同時にリリースした。 Silverlightは、ブラウザに組み込まれて動作するRIA(リッチインターネットアプリケーション)プラットフォームだ。
これはFlashと同じように、プラグインをインストールすることにより、ブラウザ上でアプリケーションを実行可能にするものです。
現在、雑誌のように綴じられた画像を、ページをめくりながら閲覧できるデモなどが紹介されています。
Silverlight Sample - Page Turn
試しに使ってみましたが、まだベータ版ということもあり、正直その使い勝手はおはなしにもならないレベルです。(クリック可能な場所にマウスオーバーしてもマウスカーソルが変わらない!?)
しかし重要なのは、こういったリッチUIを実現する枠組みが開発されつつあり、今後大きく化ける可能性もあるということでしょう。
Flex
さて、このMicrosoftのSilverlightですが、実際のところこれはAdobeのFlexの後追いの感が否めません。
Flexはリッチインターネットアプリケーションのフレームワークであり、既にIDEの開発環境まで含めたパッケージとして販売されています。
Flashプラグインがインストールされていれば、AdobeのFlexデモなどでその動作例を確認できます。
Adobe - FlexStore(demo)
個人的にはPriea(プリア)のインターフェースなどにはかなり好感を持っています。(おそらくFlexを使っているのではないかと思うのですが。)
XUL
ちょっと毛色の違うもとしてもうひとつ、こちらは現在のところFirefox限定ですがXULという技術も存在します。
XULはインターフェースを記述するためのXML言語で、Firefox自体やそのプラグインで使われています。
このXULは、どうやらウェブ上からも開くことができるようです。
XUL AmazonはXULによって作られたAmazonの検索アプリケーションです。(Firefoxのみ対応)
XUL Amazon
ローカルアプリと変わりないインターフェースがネット越しに表示されるので不思議な感覚ですが、Ajax+CSSをゴリゴリ書くよりはこちらの方がよほどスマートかもしれません。
HTMLはリッチUIで置き換えられるのか
HTMLは元々、構造化された文書を記述するための言語として作られているわけで、CSSやJavaScriptを駆使してインターフェースを実装することは、実際のところかなりの力業となっている現実があります。
リッチインターネットアプリケーションの技術は、よりインターフェースの記述に特化したものとして、何らかの形で普及してくることでしょう。
リッチUIの需要が高まる今、それは自然な流れだと思います。
おそらくまずは商用サイトなどから採用が進み、ゆくゆくは個人サイトにも波及してゆくかもしれません。
ただ、私は構造的な文書が無くなり、見栄えだけを優先したサイトが作られていくことはあり得ないと考えています。(分かりやすいところでは、それにより検索サイトから検索できなくなってしまいます。)
おそらく人間に対しての見栄えの良いサイトには、検索サイトの巡回ロボットやRSSリーダーのようなエージェントに対するメタデータとして、構造化された文書が形を変えて残ってゆくでしょう。
このメタデータとエージェントの仕組みは、おそらくリッチインターネットアプリケーション普及初期の一つの課題になるのではないかと思います。
使い勝手の問題
リッチインターネットアプリケーションではその表現の幅が広がる分、より使いやすいデザインを構築する力が問われることになります。
いつでも重要なことは直感的にストレス無く使えること、これに尽きます。
いくら贅沢な道具が揃っていたとしても、シンプルで理解しやすいものが最終的には求められることでしょう。(人間の認知能力は限られています。)
また、これはよく言われることですが、決して技術先行にならないようにすることが大切です。
新しい技術に飛びつき、先手を打って行動してゆくことは確かに効果的ですが、それらの新技術を正しく見極め、その上で本当に必要とされるサービスを提供してゆくことも、今後ますます重要になるかもしれません。
参考ページ
hiromasa.zone - そろそろ HTML は本来の姿に戻るころだ
UIデザインのHTMLからの脱却。HTMLが本来UIデザイン用の言語ではないということを再認識。
hiromasa.zone - Web におけるユーザーインターフェース
FlexとXULはこちら経由で体験。こんなことが出来るのかと驚かされました。
AdobeのFlexがオープンソースに。現行FlexをLinuxで試してみる (blog@browncat.org)
2007年夏頃からSDK(Flexフレームワーク、コンパイラ、周辺ツール)がOSSになるらしい。
SEVEN DEGREES: Java Fx - 第4の男登場か?
JavaFxというものの噂も。オフラインでも動くとか。(未確認)
*追記(2007-05-09)
サン、GUI作成向けスクリプト言語“JavaFX”発表、その狙いは - @IT
JavaFx発表されましたね。スクリプト言語ということは、コンパイル不要なのかな。
Comments»
あのー。TB頂いたのですがDNSBLのniku.2ch.netに登録されていますよ。。。
なんと。わざわざお教えいただきありがとうございます。なぜそんなところに登録されているのか謎ですが、解除も面倒そうなのでとりあえず放置しておくことにします。共有のレンタルサーバを使っているので、誰か悪用した(された)のかなぁorz
ええっと、うちではMovableTypeを使っているのですが、スパムフィルタで自動的に弾かれてしまっていました。たまたまスパムフィルタをいじっているところでしたので気づいたのですが気づかなければそのまま捨ていたかもしれません。他のブログでも同じDNSBLを使うタイプだと100%引っかかってしまいます。面倒ではありますが。。。手前味噌ですがに関連記事を書かせてもらいました。http://blog.browncat.org/2007/05/dnsbl.html
うわ。typoしてしまいました。すいません。後TBは公開させていただきました。ありがとうございます。