ナレッジエース

これまでは一月ごとに読んだ本をまとめて紹介していましたが、今回から個別でも読んだ本について考えたことなど書き残してゆきたいと思います。

今回は↓こちら。

インターネットの子どもたち

「いまインターネット最前線にいる子どもたちは，何をしているのだろうか．学びや遊び，コミュニケーションなど，子どもの諸活動は，インターネットの普及とともに，どんどん変化しようとしている．」

認知科学者の方が書かれておるのですが、インターネット時代の教育という本題はさておき、インターネットに対する認知科学からの観点そのものが非常に興味深かったです。

発見したことを伝えるよろこび

認知科学という学問では、人は何か新しいことを発見すると、それを他人に伝えたいと思うものだ、と考えられています。

言われてみれば確かにそうです。

私のブログはAboutページに「仕事やプライベートで役立つ情報の提供を目指します。」と書いていますが、これは自分の知っている役立つ情報を誰かに伝えたいという漠然とした思いからです。

ひょっとしたらというか、たぶんこれは人間としての本能的なものとして、私はむしろ書かされているのかもしれません。

そして、ウェブや最近のブログの爆発的な普及と利用の裏には、この無意識が大きく影響しているのではないでしょうか。

人は他の人にもっとよく分かってもらおうとするなかで自分自身の分かり方をだんだん深めてゆくものだ、ということも分かってきています。

以前からブログを書くことの利点としてよく上げられていることと同じです。

頭の中で漠然と理解したものを、文字や言葉として一本に紡いで引っ張り出す過程を通すことで、徐々に整理してゆきます。

また、次の節でもでてきますが、他人からの突っ込みを受けたり、穴埋めをしたりすることでさらに情報が深みを増します。

分かったことは伝えたい、伝えるためにもっとよく分かりたい、それが人間の認知活動の一つの性質だとすると、その中で、「分かりたい」「学びたい」という気持ちが育まれるのかもしれません。

実際の所は分かりませんが、本当だとしたらすごいことです。

「学んだから教えたい」というだけでなく、「教えたいから学びたい」という欲求によって、集団としてより賢くなろうとしているということになります。

確かに私たちは人に感謝されたり、誉められたりすることが大好きです。

ブログで情報発信が活発化することで、学習も加速しているかもしれません。(私がたくさん本を読むのも、このブログに書きたいという欲求があるからか？)

協調問題解決過程を解明する

二人で一緒に考えても、他人の到達した回答をもう一人が途中から自分のものにするなどということは殆ど起きません。

「二人で・・・」というのは「ウェブでみんなで・・・」と読み替えられます。

他人のブログでその主張を読んでも、そのまま鵜呑みにするということはめったにありません。

では、一緒に考えることに利点がないのかというとそうではなくて、他人はこちらの考えを素直にすぐ受け入れてくれないので、その引っかかりが自分の考えを再吟味する契機として役に立つようです。

協調問題解決の少なくとも一つの利点は、自分一人で考えていれば納得してしまいそうなことに対して、そこに至る論旨の流れや細かなステップ一つ一つについてとりあえず異議を唱える他人がいるということであるらしいのです。

最近はてブのホットエントリーに上がってくる炎上記事を見ると、主張の違いにより大量の突っ込みをあびているものが多くあります。

書いている人はかわいそうだなと思うのですが、案外これは書き手にとっても考えを再考するよい機会になっているのかもしれません。

だから、お互い相手の試行錯誤の経緯が見えやすくて、互いにちょっかいをだしやすいようなお膳立てが出来ている方が協調作業の利点も出てきやすいといえます。

「互いにちょっかいをだしやすい」のはまさに、コメントやトラックバックの機能が備わったブログの特徴です。

旧来のメディアにはなかった双方向のコミュニケーションによって、人間はますます賢くなろうとしているようです。

認知科学の分野というのは、なにやら面白そうですな。

参考ページ

ブログのススメ――なぜあなたはブログを書くのか | Web担当者Forum
こちらでは、より具体的な理由を書かれています。

Live Strong:なぜblogを書くのか
思考の備忘録としても大切ですね。記憶だけではあてになりませんから。

Life is beautiful: 「なぜブログを書くの？」、「もちろん、あなたのためです」
他人に分かってもらう喜び、ということで今回の記事と近い。

長靴をはいたネコ なぜ、ブログを書くのか？
「自分の中にいる自分が生きる場所」のとこと。ほんと、実際はいろいろありますね。